2008-01-01から1年間の記事一覧

よいお年を

今年は若い頃からずっとやりたくてもできなかったことを無理矢理ねじ伏せるようにそこそこの成果を初めて出したとは言えるのですが(いまだ中途ですが)、それ以上に年をとったという感覚が強くしんどい一年でした。尊敬する人や身内にも不幸があり悲しいこ…

戦前子ども漫画での滑稽な死

戦前の少女雑誌を調べているうちに、少年雑誌の漫画にもけっこう抜けがあることがわかってきた(宮本さんなどが調べているかもしれないが)。 博文館の『少年少女譚海』は大正末から昭和初めにかけて博文館の雑誌がいよいよ落ち目という時期に漫画を載せるよ…

最近読んでいる本

このブログを何度か読んでいる人にはとりあえずおすすめの一冊、明治メディア考作者: 加藤秀俊,前田愛出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/12/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (11件) を見る1980年に出版された対談…

『このマンガがすごい!2009』を読んだ

ここ2、3年ほどまともにいまのマンガを読んでいないのでこの手の回顧本は重宝ではあります。 オトコ編とオンナ編が一冊になったので買ってもいいかという気にはなります。オトコ編をみると、少年ジャンプがらみがまったく絡んでいないのが気になりました。…

戦前少女まんが五選プラス1(2008年版)

ひとり娘のひね子さん 長崎抜天 奇々怪々隠れ衣 井上猛夫 なぞのクローバー まつもとかつぢ ミミーのスクールライフ まつもとかつぢ 仲良し手帖 長谷川町子 エクボニツキ 大城のぼる戦後の少女まんがに対して先駆的な表現たり得てるものとして挙げたとはいえ…

今村ゆたかは少年まんがを書いたことがありますか?

今村洋子は戦後少女まんがの歴史において一世を風靡したことで知られるが、もとは父親である今村つとむのアシスタントを していて父親の代筆でデビューしたと書いてあったような気がする(ググってもわかりそうな気もします)。その今村つとむは どんな作家…

男が少女まんが研究をすることについて

うわー、体調を崩しているのにパソコンの画面に向かうと体が消耗しているのが顕在化して相当きついですよ。 それはそれとして少女まんがの研究会には時折参加させてもらっているのですが、男がいるのはじゃまなのかなと思うことは しばしばです。男子禁制の…

オタク世代はマンガの黄金時代を体験していない

私はマンガがつまらなくなったと言われはじめた70年代末から本格的にマンガを読み始めたので自分が面白いと思ったものをただひたすら読んできた。しかし物心ついた頃からマンガの載った雑誌を読んではいるのでマンガの黄金時代がいつかと聞かれたらはっきり…

大阪府立国際児童文学館廃止・移転問題について

このところ感情的に書いてしまったところがあって良くなかったと反省しています。ブロゴスフィアが感情的な反発の応酬を増幅させてしまうのをどう押しとどめていけばよいのでしょうか、私にもよくわかりません。 そんなこともあって大阪府立国際児童文学館の…

なんだかマンガと関係ない話ばかりで恐縮です。

きょうもいろいろとイベントがあったようですが目が覚めたのがお昼過ぎだったのでいろいろと断念。 マンガ関係の話題をはてなの外に移そうと思ったのはゼロアカみたいな動きにロートルなりにつきあってみようかなと 思ったというのも一つの理由なんですが、…

マジにブログやめようかと思った

今年はずっと体調がとても悪くって仕事がまともにできないで医者にかかっても鬱以外の原因がわからず、苦しいのを紛らわせるためにネットを読むのだけど、今週ははてブでの毎日新聞への異常なバッシングとfinalventの日記での軽口にぶち切れ(今日はものすご…

15日記す

梅田氏のエントリが炎上したことはもうすでに収まった感もありますが、そのあとも水村氏の本について仲俣暁生氏のエントリを読んで参考にしていました。ところがオバマとパワーズに関するエントリでは梅田氏について「梅田さんは文字通り、平成の時代におけ…

11月11日記す

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で作者: 水村美苗出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/11/05メディア: 単行本購入: 169人 クリック: 12,657回この商品を含むブログ (456件) を見る梅田望夫氏のアルファブロガーにしては信じがたいような失態にもかかわ…

はてなダイアリーの下書き機能はタイトルと日付のところで使いかたがよくわかりませんでしたが

吹きだしの起源とは

今年は手塚治虫生誕80周年で年末も近づいて手塚特集を組む本がたくさん出ていますね。 しかしルミネ10%オフでちょっと高価な本を何か買おうかと思って、まず橋本治の本を探したところ 広告批評から出している彼のエッセイ集はあまり数が出ていないのか在庫が…

森毅のエッセイを久々に読む

『現代思想』2008年11月号の特集が「の思考」とのことで、冒頭に数学者の森毅さんがちょこっとエッセイを書いていました。そういえば昔グロタンティエクの著作とか買って結局読んでも理解できませんでしたが。 全共闘世代について語ったところでリアリ…

博文館から講談社へ

私は出版業界と特に縁はありませんが、学生時代から雑誌研究をずっと続けてきたこともあり、図書館などで多少調べたこともありました。 ごく最近書店で見かけた本が日本の出版産業の歴史と現状をコンパクトにまとめていて、なかなか便利なので紹介しておきま…

ちょっとぼやき

いま職場や外出先では携帯電話でWebを見ているのですが正直言ってパケホーダイは高いなと思います。 今年の春先にノートパソコンが軒並み動作異常をきたしてリカバリーディスクをきちんと整理していなかったので、あわてて5万円でEeePCを購入したのですが本…

遅れてきた井上一雄

昭和初期の雑誌漫画について考察しようとするには、その背景に円本ブームがあったことを念頭に置かなくてはならないのでしょうが、エントリとしてはまとめにくいので、後回しにします。この手のエントリは今後はてなダイアリーのほうでは書かないかもしれま…

昭和金融恐慌と少年倶楽部

日本の児童漫画がどのように成立していったかについての研究は、たとえば鷲谷花氏が1999年に筑波大学の文学研究論集に掲載した論文「初期児童漫画の成立」などがWebからでも読める(http://hdl.handle.net/2241/14060)。大正5年の『少年倶楽部』から断続的に…

ル・クレジオにノーベル文学賞

ル・クレジオはたぶん今年のノーベル賞受賞者の中で日本での知名度は断然トップでしょう。まだ受賞していなかったのですか。「大洪水」の翻訳とか出ませんかね?

こちらにもなんかすごい本が

ピーター・ブレグヴァドに続いて今度はジュリアン・コープ。JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-作者: ジュリアン・コープ,奥田祐士出版社/メーカー: 白夜書房発売日: 2008/07/23メディ…

これどうするんだ

ザ・コンプリート・オン・ザ・コーナー・セッションズアーティスト: Miles Davis出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)発売日: 2007/11/21メディア: CD クリック: 10回この商品を含むブログ (13件) を見るマイルス・デイヴィスの「オン・ザ・コーナー・セッションズ…

よりみちパン!セがすごすぎる

ちくまプリマー新書もそれなりに面白いのですが、理論社の「よりみちパン!セ」シリーズはヤングアダルト以上上限なしのシリーズとして面白い展開を見せています。叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)作者: 叶恭子,叶恭子(挿画) 100%ORANGE(表紙)…

といいつつマンガ関連書の紹介(に加えてピーター・ブレグヴァドについて)

線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート作者: ティエリ・グルンステン,古永真一出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2008/08/28メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (19件) を見るフランスの気鋭の研究者によるマンガ研究書。パ…

国際児童文学館問題−他に学ぶことはないか

大阪府立国際児童文学館の問題について府立図書館に統合しろという意見のサイトもちょっと見てきたのですけど、建設的な議論をするための土台そのものがないところを相手にするのは不毛ですね。国際子ども図書館と神奈川県立近代文学館のページとそこにある…

戦後SFマンガ史など

ブログのエントリはたいてい記憶に頼って書くので正確さを保証していませんが、米沢さんの「戦後少女マンガ史」を読むといいと思います。 実は他の2冊は子ども時代に近くの図書館に置いてなくて、きちんと読んでいないのですが、「戦後SFマンガ史」を読む…

「戦後日本マンガの大きな眼の祖は、中原淳一と松本かつぢではない」への修正と補足

淳一、かつぢが幼児性を追求していない、ということは変わりないのですが、淳一が描けなくなってしまう前に描いたさし絵の中に、身長が2倍くらいある兄に連れられた妹らしき少女を描いた絵があります。かわいらしい顔ではありますが、絵自体はむしろ痛々し…

大阪府立国際児童文学館の利用者を増やす努力をしています

ニュースにいちいち反応するのも馬鹿くさいのでこれからも府知事の奇妙な挙動については生温かくウォッチしておきます。 いま貴重な児童資料を閲覧できる施設としては、充実の度合いから順に、大阪府立国際児童文学館、上野の国立国際子ども図書館、東京都立…

ウォルター・ベッカーが新作を出していました

たまたまスティーリー・ダンのことをちょっと思い出したらなんとウォルター・ベッカーのセカンドアルバムがこっそりと発売されていたようです。Circus Moneyアーティスト: Walter Becker出版社/メーカー: Sonic360発売日: 2008/07/22メディア: CDこの商品を…