2009-01-01から1年間の記事一覧

大阪府立国際児童文学館の閉館とその後について

更新が滞りましたが、Twitterを始めてから、ブログに記事を書くのが面倒になってきたことを白状せねばなりません。ブログは本と同じで、書きたい人は星の数ほどあれど、読者の大多数は自分の生活の現実から一時的に離れるためのツールとして物語を読みたいの…

メモ:矢代まさこの「ようこシリーズ」について

矢代まさこの「ようこシリーズ」については、米沢嘉博さんの「戦後少女マンガ史」の中でも重要な位置づけがされており、最近ではみなもと太郎先生が大塚英志さんに『新現実』の中でレクチャーをしていましたが、貸本マンガのシリーズのため、私は今まで見る…

近況とか

ここ最近仕事のない日は異様に充実していたのでしたが、どうもゆったりできなくて疲れをためています。大阪の国際児童文学館については、力及ばずというよりもかえって迷惑をかけてしまったのではないかと思い、大阪でこの施設に長い間親しんできた方々には…

追悼 レヴィ=ストロース そして構造主義について

最近中沢新一氏が訳書かなんかを出していたので久々に注目されるかなと思ったらお亡くなりになりましたか。まあ大往生ですね。親族の基本構造作者: クロード・レヴィ=ストロース,福井和美出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2001/01メディア: 単行本購入: 1人 …

米沢嘉博記念図書館で発狂

いえね、先週は神奈川近代文学館の大乱歩展を見に行ったり、その前には漫画関係のレクチャーを聴いたりけっこう休日は幸せに過ごしていたのですが、神保町で第50回神田古本まつりもあったので開館当日の米沢嘉博記念図書館に寄ってきました。 お茶の水まで出…

連休は部屋の掃除だけで終わった

工事の都合があってどうしても空間を空けないといけなかったので必死に物を減らしましたが、なんかすごく疲れました。Upgrade & Afterlifeアーティスト: Gastr Del Sol出版社/メーカー: Drag City発売日: 1996/06/17メディア: CD購入: 1人 クリック: 33回こ…

連休はあっという間に過ぎた

今回は5日間も休みがあるから不義理をしている人に手紙を書こうとか温泉に行きたいとか事前に決めていたつもりが、部屋の大掃除と挙動不審のパソコンのメンテナンスだけでじかんがつぶれる。手紙が書けなかったなんて普通あり得ないだろう⁉ とりあえずカラオ…

8月中に書けなかったことをつぶやいてみる

フリージャズの生き証人にして集団即興演奏界の至宝、Alan Silvaの20数年ぶりの奇跡の来日公演がとてつもなくすごかった ※ たとえばセシル・テイラーがオーケストラの指揮をする姿は想像できないなあ... ※ サン・ラとかザッパの指揮を映像で見たことがあるが…

抒情詩と四コマ漫画

最近マンガに関して雑誌が不振にあえいでいるなどといろいろなところで話題になっていますが、ここ数年マンガ研究は目立たないながらも着実な成果を上げつつあると思っています。そんな中で突然ですが清水勲さんの新著が出ていました。四コマ漫画―北斎から「…

祭りの前

毎日外で過ごす時間が少ないので暑さによる夏バテということはないのですが、このところ体調の変調が激しく今日も月曜というのに異常に体調が悪いので出勤をあきらめて一日寝ていました。予定が狂いまくってしまった。こういうときはテレビは音を聴くだけで…

戦後雑誌とか絵本とか

世田谷文学館で開催されている堀内誠一展について以前エントリをメモしていましたが、どうもまともに文章を書けなくて書き残したことがありました。 戦後の雑誌を考える上で堀内誠一の存在は極めて重要だと言えます。独特のエディトリアル・デザインは日本の…

自分のための後記

このエントリを書いたあとで、自分が初めて自分の小遣いで買ったのが高橋亮子の書き下ろしが載っていた週刊少女コミックだと思い出して愕然とする。くらもちふさこを初めて読んだ記憶のあまりの鮮明さに比べて、20年くらいの長きにわたり忘れていたことをい…

マンガの欧米向け翻訳書の問題

前々回のエントリで紹介した本に書いてあることの中で単純だけど重大な指摘があったのでここでちょっと触れてみます。 日本のマンガには欧米のものとは明らかに異なるある特徴があり、私自身もそれを重要なものと考えていますが、欧米向けに翻訳する際にこれ…

「コドモノクニと童画家たち」展

横須賀美術館でいよいよ来週23日まで。見応え十分でこれだけそろうと圧巻です。 近くに海水浴場などもあり一日家族で過ごすにもいいところです。婦人画報 2009年 07月号 [雑誌]作者: 編集長出口由美出版社/メーカー: アシェット婦人画報社発売日: 2009/06/01…

美術としてのマンガをどう鑑賞するか

ここ20年間くらいの傾向として、誰もが物語を過剰に求めるようになったのではないかと思う。世界は物語でできているわけではないのだが、美術の鑑賞の仕方にもストーリーを求めようとする傾向が以前よりも高まったのではないかと思う。見てその価値がよくわ…

beyond the free jazz

Eric Dolphyの貴重なソロが見られるYouTubeのおすすめビデオ。Cecil Taylorのビデオは多分そんなに珍しいものではないけれど、 やっぱりこうして見てみると山下洋輔とは違う。 Taylorの本領は結局のところソロでもっとも発揮されるのではないかと 思うが、フ…

自分の若いころはCOMの時代からおたくの時代とはあまり関係なかった

先月から今月の最初にかけて、おたくの起源とかCOMの時代についての研究会やシンポジウムなどの案内が来ていたのですが、吉本たいまつ氏を招いた研究会のほうは体調が悪くて行けず、COMの関係者や霜月たかなか氏を招いたシンポジウムは京都で開催のためこち…

腸を切る

大腸の内視鏡検査を受けて見つかったポリープを切除してもらいました。今年は腹のあたりからずっと調子悪い感じではあったので、原因らしきものがあったことは喜ぶべきことなのですが、これですぐに体調が良くなるわけでもなかろうと思うと、体質改善を積極…

そこらへんの新興宗教の教祖は誰もサン・ラーを超えられない

インターネットで動画が見られるようになってレアで見られなかったサン・ラーの映像が容易に見られるようになったというのは実にすばらしい! ジャズの歴史をビ・バップ以前のビッグバンドからフリー・ジャズ以後までリアルタイムに生きてきたこの鬼才は、マ…

連休は休養中

疲れがたまっているので連休中のイベントは結局すべて行かずに2日間家におりました。山下トリオの復活祭は近々あることは前々から噂に聞いていたにもかかわらず昨日とは知らなかったのでした。情報誌などでイベントを細かくチェックしていないし、日比谷野音…

村山知義「三匹の小熊さん」から堀内誠一展へ

大正後期から戦後まで前衛芸術家、プロレタリア運動家などの顔を持ち芸術全般から商業美術、文学まで幅広いジャンルで活動して昭和前期には日本のダヴィンチとよばれた村山知義が、昭和6年に子ども向けに作ったアニメーション「三匹の小熊さん」の限定出版D…

メビウスとあすなひろしの同時代性

先週はマンガ学会の大会を見に行ったり昭和文学会の文学館の未来を考えるシンポジウムを聴きに行ったりしたのですが、体調は絶不調でブログに駄文すら書く気力がありませんでした。 今週も家でゴロゴロしていたのですが、マイケル・ジャクソンの急死という事…

万博公園で何が起こっているのか

大阪府、万博公園を府営化へ 「財政負担なし」条件に - 47News http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009060201000375.html大阪府:万博公園、府営に 記念機構廃止容認 土地活用へ http://mainichi.jp/kansai/news/20090602ddn001010004000c.html 政府は07年…

少女の友昭和13年1月号復刻をめぐって

『少女の友』創刊100周年記念号に続いて、内山基が主筆になって中原淳一が作った付録と、『少女の友』昭和13年1月新年号の復刻版をまとめたセットが段ボールに包まれて現在書店にも並んでいますが、14000円とかなり値が張るのでルミネ10%OFFの機会に注文して…

中公新書通巻2000点刊行記念フェア

ルミネのセールでかなり本を買い込んだにもかかわらず、月末でマンガ雑誌を買いに行ったら中公新書の通巻2000点刊行を記念したフェアをやっていて、つい手を出してしまう。 並んでいる新書に推薦の帯が付いているのである。美学への招待 (中公新書)作者: 佐…

先週のルミネ10%offで買ったもの

山口昌男の本をまともに読んだのは実は初めてで、80年代は中村雄二郎をよく読んでいたが、マンガ史について知るには以下の上下巻は必須。「敗者」の精神史〈上〉 (岩波現代文庫)作者: 山口昌男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/06/16メディア: 文庫購…

【速報】フイチンさん復刊!上田トシコ先生追悼企画でアニメも上映

上田トシコ先生が昨年の春に亡くなられたのは私にとって大変ショックなことでしたが、追悼にふさわしい企画が行われているのを知りました。アニメ「フイチンさん」が「下北沢トリウッド」でアンコール上映中です。 http://homepage1.nifty.com/tollywood/ 5…

やなせたかしと独立漫画派

かなり以前のエントリでやなせたかし氏が独立漫画派に所属していたことを描いているのですが、美術館に見に行った時は、独立漫画派という言葉は出てきませんでした。 やなせ氏の仕事を全体として見れば徹底して通俗を貫いたとも言えるかもしれません。 長新…

国際児童文学館との関連でちょっと補足:

そもそも「メディア芸術」とは何ぞや、という点でちょっと気になったので、文化庁のページなどを見たりしたのですが、どうも定義が難しいと思って最近読んでいない美術手帖のような雑誌の記事などをちょっと思い浮かべて、メディアアートで検索しなおしたと…

「国立メディア芸術総合センター」はお台場ではなく万博公園に

文化庁が「国立メディア芸術総合センター」(仮称)をお台場に作るという構想が発表されたというニュースを聞きましたが、なんでお台場なんて場所を候補にするのか、と思います。「アニメ美術館」なんて勝手に名付けられていますけど、アミューズメントパー…