やなせたかしと独立漫画派

かなり以前のエントリやなせたかし氏が独立漫画派に所属していたことを描いているのですが、美術館に見に行った時は、独立漫画派という言葉は出てきませんでした。
やなせ氏の仕事を全体として見れば徹底して通俗を貫いたとも言えるかもしれません。
長新太久里洋二井上洋介などのアクの強さと比べると、親しみやすく万人に愛される面があったと思いますが、ギャラリートークを聞きながら、やなせ氏に独立漫画派のことを聞くのはもしかするとちょっと難しいかもしれないという予感がしました。
中村正常氏(中村メイコの父親で小説家)でのことを聞けるだけの用意があれば別かもしれませんが。
少女の友の限定復刊号で安野モヨコさんがインタビューを受けていましたが、小島功さんが中心だったとしたらこちらからのほうがわかりやすいかもしれない。
やなせ氏はいずみたく永六輔などテレビで活躍した人との交流があって、そのあたりから次第に知名度を上げたのではと思われます。
「詩とメルヘン」という雑誌をサンリオから出したとき、ある人は3号と持たないだろうといったとのことで、つまりサンリオ流の通俗性が評価されなかったのでしょうが、結果的に大衆的支持を受け人気作家を育て、叙情画ブームをもたらしもしました。
アンパンマンの最初の子供向け絵本「あんぱんまん」を出したときは「詩とメルヘン」どころではなく酷評されたそうで、つき合いの長い担当編集者からもこういう本は今回限りにしてくださいと言われたそうです(記憶違いならすみません。でもなんか顔を食べさせるってのは独立漫画派っぽいかも)。しかし大人がグロテスクで残酷と思ったこの本が次第に幼稚園などで子どもたちに人気が出たとのことで、アニメにしたのがやはり大成功につながったのでしょうね。

やなせたかし (らんぷの本)

やなせたかし (らんぷの本)