ニッポンの少女まんがの元祖だヨ!松本かつぢ展 レポート 

弥生美術館で開催中の松本かつぢ展(2013年10月3日〜12月24日)については、我ながら本当にしつこくつぶやいていましたが、小林かいち展および竹久夢二高畠華宵の常設展と合わせてとても見ごたえのある期間となりました。

前回に弥生美術館で松本かつぢ展を開催したのが2006年で、このときに図録兼用で出版された本がすでに見事なものでしたので、これを持っていない人はぜひ読んでみてほしいと思います。

 

松本かつぢ----昭和の可愛い!をつくったイラストレーター (らんぷの本―mascot)

松本かつぢ----昭和の可愛い!をつくったイラストレーター (らんぷの本―mascot)

 

 このすばらしい労作ですらもカバーしきれなかったものに、かつぢの古いマンガ作品などがありましたが、今回の展示では、かつぢのデビュー当初の雑誌の仕事と、昭和4年の『少女画報』での最初のマンガ作品から昭和9年の付録マンガまでも展示に加わりました(『少女画報』は調査済みで本に記録が載っています)。

付録のまんがは、「ぺぺ子とチャー公の夏休み」(昭和8年9月号)、「?(なぞ)のクローバー」(昭和9年4月号)、「ピチ子とチャー公 湖畔の一夏」(昭和9年8月号)がいずれも当時の『少女の友』の野心的とも言える試みとなっています。「?(なぞ)のクローバー」はカラー刷り本編12ページ、本誌の2倍の判型で、マンガとしては4段組を採用して手塚治虫以前に映画的手法を大胆に実験した画期的な作品となりました。「ピチ子とチャー公 湖畔の一夏」は判型が小さく二段組ですが、見開きのわずか3,4コマでアクションを完結させる試みが見事に結実していて、48ページという当時の読み切りでは破格の長さになっています。日本のマンガ史上でもこれらは画期的なものだと断言します。「ぺぺ子とチャー公の夏休み」はジャバラ折りの付録で、これはかつぢがまだ『少女画報』でマンガを描いていた頃の「1931 誌上少画展」(昭和6年4月号)の本誌綴じ込みのジャバラ折りが踏襲されています。展示の中には、かつぢがマンガ家として登場する前の少女雑誌に載った作品も河盛久夫、田河水泡のものが展示されていますが、まだ拙いそれらの作品をかつぢは格段に格段に進歩させました。『少女画報』での最初の連載や、最初のキャラクターであるポクちゃんシリーズも展示では紹介されており、このあたりは現在雑誌連載中の村上もとかのマンガ『フイチン再見!』でも紹介されました。

あとはツイートを集めてみましたので、ご参考にしてください。追記してまとめるかもしれません。