【速報】フイチンさん復刊!上田トシコ先生追悼企画でアニメも上映

上田トシコ先生が昨年の春に亡くなられたのは私にとって大変ショックなことでしたが、追悼にふさわしい企画が行われているのを知りました。

アニメ「フイチンさん」が「下北沢トリウッド」でアンコール上映中です。
http://homepage1.nifty.com/tollywood/
5月22日までなので、休日中に見に行きたいなら明日までです。
DVDにはなっているんですが、お子さんと一緒に見に行くのがお勧めです。
見に行くときっといいことがありますよ!

フイチンさん [DVD]

フイチンさん [DVD]

また、コミックパークでついに「フイチンさん」がオンデマンドコミックで
復刊されました。クール・ジャパンとか騒がしいですが、そういうクールと
言えば日本で最も真にクールな少女マンガではないかと思う名作です。

詳しくはこちら
http://www.comicpark.net/cm/comc/detail-bnew.asp?content_id=COMC_APW00001

追記:
書店では手に入らないオンデマンド出版のコミックですが、トリウッドで販売しているのを買ってきました。全編読める日を何年待ち続けたことでしょうか!
講談社の『少女クラブ』で「フイチンさん」を連載開始したとき戦前に漫画家デビューした上田先生は40歳で、戦前には満鉄に勤め、戦後にはGHQ関係で絵を描く仕事もしたという人生経験を積んだ立派な大人の女性が当時の母もの少女漫画を描こうとは思わなかったであろうことは想像に難くありませんが、戦後の女性作家がカリスマ中原淳一に大きく影響を受けているのに対して、松本かつぢの一番弟子であった上田先生は師匠へのオマージュとしてこの不朽の名作を描いたであろうし、それは当時の少女漫画の中では異色であったでしょうが、同じ『少女クラブ』で描いていた満州出身のちばてつやおよび赤塚不二夫にも影響を与えたでしょう。

年譜によれば上田先生は幼少期と戦争中に国際都市ハルピンに居り、「フイチンさん」はまだ幼少期の清朝が倒れ中華民国に属していたころのハルピンをモデルにしているようです。出てくるのは基本的に中国人とロシア人ですが、ヨーロッパの影響はハルピンも日本も同じようなものだったでしょうし、第一次世界大戦がやっと終わって平和が戻ってきた頃のモダンな都会を感じさせます。フイチンさんは実際の上田先生とそっくりな感じなのですが、リイチュウぼっちゃんも上田先生の幼少期の記憶から作られたキャラクターなのかもしれません。

高野文子さんが上田さんの画風を採り入れたのは周知のことですが、「るきさん」のルーツに「お初ちゃん」がある以上に、「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」が「フイチンさん」のデパートのエピソードへのオマージュになっていることがわかります。

戦後漫画史上に燦然と輝くこの不朽の名作がなんで小学館クリエイティブが出してるような復刊本に入らなかったのか首をかしげてしまいますが、宣伝しないと売れないのも事実でもはや出版社がまともに宣伝ができないらしいので、ここで声を大にして必読と言いましょう。