大阪府立国際児童文学館の閉館とその後について

更新が滞りましたが、Twitterを始めてから、ブログに記事を書くのが面倒になってきたことを白状せねばなりません。ブログは本と同じで、書きたい人は星の数ほどあれど、読者の大多数は自分の生活の現実から一時的に離れるためのツールとして物語を読みたいのだろうし、そうでなくても自分の人生の役に立つ情報が欲しかったり世の中にものを申すきっかけを探していたりしているのであり、それで何か間違っていることなどありません。ただいろいろと書いていて、単に自己満足に終わるのは別にいいとしても、きちんと文章にまとめるにはそれなりに時間がかかって、そのための時間を割くのは最近ちょっとしんどい。これまでもテニオハや係り受けが間違っていようが思いついたままに文章を垂れ流す方法を続けてきました。
これからもマンガ関係の発信は、自分の中で熟成されてきたら出す、ということを続けるつもりですが、「はてなの壁」を超えないと思ったら別の場所を探すことになるでしょう。ココログにひとつブログを持っていますが、こちらも使いづらくて長らく更新していません。



ここから本題です。大阪府立国際児童文学館がこの27日に府立図書館への資料移転準備のため休館となりました。休館とはいうものの、資料を移すというのは事実上の閉館です。財団法人大阪国際児童文学館は当面存続しますが( ■ 当財団の今後の方向性について(ご報告 その5)http://www.iiclo.or.jp/hp/genjyo6.html )、閉鎖された施設を今後どうするのかについては未だに定まっておらず、迷走している感は否めません。

今この問題を書くことにあまり気が進まないのは、私自身の存続を訴える活動のやり方がとても愚かだったのではないかと忸怩たる思いがあるからです。意図のわからない悪意のようなものに過剰に反応してしまって対応を失敗した感じがします。意図がわからなくてもそれがあまりに子供じみたものであれば、問題の解決には何の役にも立たないものとして淡々としていればよかったのでしょう。世の中を見渡してみればそう悟れるものではありませんけど。

私のしたことは善意の愚かさに過ぎなかったのではなかったか、と思うのは考えすぎでしょうか。しかしネット上で誤解を招く言動も多い私は適任ではなかったかもしれません。

2000年代にアカデミズムの場で漫画研究を大きく前進させる役割を果たした一人である宮本大人さんは、長年漫画研究のために国際児童文学館と深く関わりを持っていた立場からブログで存続をいち早く訴えましたが、ここから先はあくまでも私の想像で言いますので、間違っていたら申し訳ありませんけれど、存続活動を進めるうちにどう動いても事態がかえって悪くなることに疑念を感じるようになり、どこかで譲歩することで打開できないかといろいろ考えたのでしょうが、結局問題に関係するどのような情報も地道に収集しながら発信は最小限に限って沈黙を選ぶようになったと思います。宮本さんとはマンガ学会でお会いしたときなどにこの問題に関して多少言葉を交わしました。

その宮本さんがこれまでの顛末を整理したエントリを29日に記しています。
 http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20091229/1262063514

いまさらわたしがこれに特に付け加えることもないでしょう。新聞記事が関西向けにとどまっているか全国向けなのかが多少気になる程度ですが、これまでこの問題はマスコミでも関西から離れた場所ではあまり報じられていなかったような気がするものの、実際はよくわかりません(東京でも関西で制作されたニュース番組が放映されておりますし)。ジャーナリズムと言ってもその程度の理解でしかないのか、と言ってもそれは発信手段を持つ自分自身に返ってくることでもあります。

なので、自戒の念を込めて、と言い、これからのささやかな問題提起をもってこのエントリが締めくくられていることに対して、年末でもあるので、もう一度考えておきたいと思います。

あと、私は宮本さんのエントリにはてなブックマークをつけましたが、情報伝達の手段としてのはてブの限界は相当前から感じていたことで、エントリが本当に見て欲しい見知らぬ人に伝わるという期待がほとんどできないのです。

はてなの使い道として同じキーワードからこの問題に言及する別のブログやニュースを見つけることができます。のりみ通信さんのレポートは宮本さんの記事からたどれますので、あとはエル・ライブラリーさんのレポートを紹介しておきたいと思います。(実際にお会いしておりませんが、どうもありがとうございます)

大阪府立国際児童文学館、最後の開館日
http://d.hatena.ne.jp/l-library/20091228/1261966987

関西の全テレビ局が取材にきたとのことです。将来に禍根を残す、と書かれているのが別に脅し文句なんかではないことは、この事件における金額では算定困難な損失に思いを馳せられる人々にしか感じられないのかもしれません。まあそれは私の妄想かもしれませんけど、それでもこの事件は多くの人の想像を超えて、忘れ去られることなく後世に長く語り継がれることになるでしょう。

(参考)大阪府立国際児童文学館、大阪府立中央図書館、京都国際マンガミュージアム、エル・ライブラリーに行ってきました
http://d.hatena.ne.jp/literarymuseum/20091217/p1

私はアカデミズムの人間ではありませんが、素人の漫画研究が高じて戦前雑誌の調査のため大阪府立国際児童文学館にはこの二年間ほど何回もお世話になりました。閉館前に直接ご挨拶ができなくて残念でしたがこれからも応援を続けたいと思います。

大阪府立国際児童文学館のみなさま、本当にありがとうございました。