ウォルター・ベッカーが新作を出していました

たまたまスティーリー・ダンのことをちょっと思い出したらなんとウォルター・ベッカーのセカンドアルバムがこっそりと発売されていたようです。

Circus Money

Circus Money

ここで紹介しても日本盤は出ないだろうなあ。でも買わなきゃ。あの売れなかったベッカーのファーストアルバムこそがスティーリー・ダンのエッセンスだと私は信じていますので。

あの音楽業界に呪いをかけたであろう「ナイトフライ」が渋谷陽一の番組で紹介されたとき、「ドナルド・フェイゲンさえいればスティーリー・ダンは成り立つ」と言ったのを聞いて仰天したのはまだ高校生の頃でしょうか。ウォルター・ベッカーがいなかったらスティーリー・ダンというユニットは成立しなかったはずですよ。ベッカーのソロが売れない一番の理由はフェイゲンのボーカルがスティーリー・ダンの証明書になっていたからで、あの1977年の「Aja(彩)」あたりからモンスター・アルバムの潮流に載ってベッカーのクセのあるスタイルは次第に薄れていくんです。

ここでモンスター・アルバムと呼んでいるのは主に1977年にビルボードのアルバムチャートで半年くらいアルバムチャートを独占したフリートウッド・マックの「Rumours(噂)」とそれに続くビー・ジーズの「サタデー・ナイト・フィーバー」の2枚を指していますが、これ以前には奇しくもイーグルスが現在全米歴代売り上げ第一位をキープしている「グレイテスト・ヒッツ」に続いて問題作と言われた「ホテル・カリフォルニア」を出して、ピーター・フランプトンの「カムズ・アライブ」という誰それってなライブアルバムが大ヒットするというアメリカ音楽産業のバブルが始まったって感じの状況でありました。

噂

ポップス史上に残る怪物アルバムとしてこれは外せません。今後もセールスを伸ばすであろう名盤でしょうね。ポップアルバムとして独特の魔力がありますが、なぜこんなに売れ続けるのかはとりあえずアメリカ人に聞いてみないとわかりません。この時代が生んだ奇跡としか言いようがない謎です。

サタデー・ナイト・フィーバー/オリジナル・サウンドトラック

サタデー・ナイト・フィーバー/オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,クール&ザ・ギャング,ビー・ジーズ,K.C.&ザ・サンシャイン・バンド,ディヴィッド・シャイアー,M.F.S.B.,トランプス,イヴォンヌ・エリマン,ウォルター・マーフィー,タヴァレス,ラルフ・マクドナルド
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1995/12/21
  • メディア: CD
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ディスコ・ブームってなんだったんでしょう?パンク・ロックもこの頃盛り上がったので80年代を特別な時代と考えている若い人はもうちょっとこの時期を調べてみるといいですよ。
正直アルバムで聴いたことありませんが、まずここから「スリラー」までですね。ちなみにマイケル・ジャクソンは「オフ・ザ・ウォール」を推します。復帰したマイルス・デイヴィスマイケル・ジャクソンのカバーを演奏したのは「スリラー」のほうからですが。

スティーリー・ダンが好きでジョニ・ミッチェルを聴いていない人もけっこういるだろうと思ったので1977年の作品を。

Aja(彩)はレコードが擦り切れるほど聴きましたし名盤と思いますけれど、「ホテル・カリフォルニア」以前からアメリカ音楽産業への皮肉な態度を示していたスティーリー・ダンがあの大仰な「ガウチョ」まで自ら退廃に身をやつしていく中でおそらくベッカーはスティーリー・ダンを抜けて行ったのでしょう(Wikipedia等を参照した上での憶測です)。

「ナイトフライ」もかなり聴きこんだアルバムで名盤と呼ぶにやぶさかではありませんが、これはいわば「ホテル・カリフォルニア」のようなものですよ。憶測ですがゲイリー・カッツのとロジャー・ニコルズの偏執的なまでの音作りはおそらく日本の音楽業界にも良くも悪くも強い影響を及ぼしてきたことでしょう。

SMAP 007

SMAP 007

ウォルター・ベッカーはスティーリー・ダンでは歌を歌わなかったので、ソロアルバムで初めて自分で歌ったのですが、下手くそなのは否めない。でもスティーリー・ダンが当初ロックバンドとして成立していたのはベッカーの存在ゆえと思います。

11 Tracks of Whack

11 Tracks of Whack

私が「うそつきケイティ」と「幻想の摩天楼」を好きなことはわかるでしょうが、ベッカーのファーストは必聴だと思いますね。
Katy Lied

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Royal Scam

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