といいつつマンガ関連書の紹介(に加えてピーター・ブレグヴァドについて)

線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート

線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート

フランスの気鋭の研究者によるマンガ研究書。パラパラとめくって真っ先に興味を惹いたのは白木卓の漫画が引用されていたことですね。谷岡ヤスジとほぼ同じ時期に少年マガジンにも起用されたことがあるみたいなのですが、谷岡ヤスジの知名度と比べてものの見事に忘れ去られています。青年誌にも進出せず若い読者に名前が知られなかったこの作家を採りあげているというのがちょっと驚きでした。白木の引用された漫画が徹底してサラリーマン向けであるのを見ると、谷岡ヤスジはマガジンでの連載にあたり子ども向けを意識して赤塚不二夫をかなり研究したんじゃないかと思えなくもないですね。
さて、フランス、顔とくればやっぱりレヴィナスが冒頭に出てきました。フランス語の翻訳なので読むにはある程度他の翻訳書を読んでいるなどちょっと慣れがいります。人名については日本向けに巻末の略伝が拡張されています。
意外にもピーター・ブレグヴァドの名前を見つけて、あの「スラップ・ハッピー」のミュージシャン?と思ったら巻末の略伝にその旨ありで大当たりでした(!)しかし漫画家として活躍していたのは知りませんでした。
カサブランカ・ムーン

カサブランカ・ムーン

Kew. Rhone

Kew. Rhone

アンディ・パートリッジとの共演盤なんてものがあるとは知りませんでしたが、アンディ・パートリッジがプロデュースしたアルバムがけっこう出ているよう。実はいかにもな組み合わせとも思えます。興味のある方はPeter BlegvadがつづりなのでAmazonを見てください。
ORPHEUS,THE LOW DOWN

ORPHEUS,THE LOW DOWN

漫画は「Leviathan」という題で90年代に評判を呼んだものらしいです。この本の中でも重要な位置を占める作品になっていて、最後のほうに図版が抜粋されています。
The Book of Leviathan

The Book of Leviathan

続いて日本のほうから。現役マンガ家によるネームを中心としたマンガの創り方です。

マンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリーづくり

マンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリーづくり

500ページと分厚く文章量も半端じゃありません。ほぼ4千円。確かにマンガ論を読んでマンガが描けるわけじゃないのですが、ここまで文章での説明にこだわるのがかえって面白い。気合を入れないと読み通せないかもしれません。