最近の漫画論、少女論など

自分は学問の世界からは少し離れた場所にいるので、動向をきちんと追えているかどうか心許ないのですが、30年以上の歳月を経た漫画作品が単行本され、またいわゆるサブカル本とは一線を画す研究書も出版されてきています。
臨川書店からは以前載せた「年表日本漫画史(ビジュアル文化シリーズ)
」に続きビジュアル文化シリーズとして漫画やアニメーションを対象とした本が刊行中です。

メディアのなかのマンガ―新聞一コママンガの世界 (ビジュアル文化シリーズ)

メディアのなかのマンガ―新聞一コママンガの世界 (ビジュアル文化シリーズ)

差別と向き合うマンガたち (ビジュアル文化シリーズ)

差別と向き合うマンガたち (ビジュアル文化シリーズ)

日本初のアニメーション作家 北山清太郎 (ビジュアル文化シリーズ)

日本初のアニメーション作家 北山清太郎 (ビジュアル文化シリーズ)

このところいろいろ買いものをしているので購入するか微妙に悩むところ(著者に直接話を聞ける機会がないわけでもないということもある)。つい最近も以下の本を購入したばかり。

口紅水仙―蟹座牡羊座魚座双子座 (シリーズ星座の女)

口紅水仙―蟹座牡羊座魚座双子座 (シリーズ星座の女)

表題作はモントリオール国際漫画賞を受賞したもので、解説にはその経緯についても書かれています。個人的な関心としては牧さんが少女マンガから大人の女性向けに移行していくあたりを探っていきたいのですが。

「少女」の社会史 (双書ジェンダー分析)

「少女」の社会史 (双書ジェンダー分析)

こちらはジェンダー論として「少女」の表象が、その言葉が生まれてからどのように変遷したかをたどる労作。「少女マンガジェンダー表象論―“男装の少女”の造形とアイデンティティ」を3月頃に載せたときに本が出ていたのに気づいていませんでしたが、掲載された論文のうち一部を読んでおりましたので、さっそく読んでいるところ。中盤から後半にかけては昭和戦時下の「少女の友」を中心に論じており別の方向から興味を持っているわたしにとっても大変重宝する本です。ざっと読んでみてもう一歩踏み込んでほしかったと思われる点が見受けられましたのですが、書き始めると長くなるのでまとまった時間を見つけて続きを書きたいと思います。