「万博症」を考察するためのオタク周辺の知識人文化人マップ

1970年の大阪・千里丘陵で開催された日本万国博覧会の会期は、ちょうど1963年生まれの私が幼稚園を卒園して小学校に入学するという節目にきっちりと重なっている。30歳くらいまでに自分なりのマンガ論をまとめる目標が、阪神大震災とオウムが起こしたサリン事件以後大幅に目標が狂ってしまったのは、私が万博症を発症したからである。
下のリストはマンガ評論家の生年にちょっと興味を持ったことから作ってみた。大塚英志唐沢俊一岡田斗司夫の三人のオタク界のイデオローグが奇しくも1958年生まれで一致していたのが面白いと思ったからである。ほとんどネットから拾ったので正確さは保証の限りではない。

呉智英 1946年生まれ 愛知県出身
中上健次 1946年生まれ 和歌山県出身
中島義道 1946年生まれ
北野武 1947年生まれ 東京都出身
橋本治 1948年生まれ 東京都出身
スガ秀実 1949年生まれ 新潟県出身
村上春樹 1949年生まれ 京都府出身
萩尾望都 1949年生まれ 福岡県出身
夏目房之介 1950年生まれ 東京都出身
中沢新一 1950年生まれ 山梨県出身
永井均 1951年生まれ
押井守 1951年生まれ 東京都出身
森村泰昌 1951年生まれ 大阪府出身
村上龍 1952年生まれ 長崎県出身
坂本龍一 1952年生まれ 東京都出身
中島らも 1952年生まれ 兵庫県出身
米沢嘉博 1953年生まれ 熊本市出身
小林よしのり 1953年生まれ 福岡県出身
江戸アケミ 1953年生まれ 高知県出身
大友克洋 1954年生まれ 宮城県出身
岡崎乾二郎 1955年生まれ
黒沢清 1955年生まれ 兵庫県出身
麻原彰晃 1955年生まれ 熊本県出身
斎藤美奈子 1956年生まれ 新潟県出身
秋元康 1956年生まれ 東京都出身
佐野元春 1956年生まれ 東京都出身
巻上公一 1956年生まれ 静岡県出身
浅田彰 1957年生まれ 神戸市出身

大塚英志 1958年生まれ 東京都出身
唐沢俊一 1958年生まれ 札幌市出身
岡田斗司夫 1958年生まれ 大阪府出身

みうらじゅん 1958年生まれ 京都府出身
松沢呉一 1958年生まれ
山本精一 1958年生まれ 尼崎市出身
大澤真幸 1958年生まれ 松本市出身
宮台真司 1959年生まれ 仙台市出身
内田春菊 1959年生まれ 長崎県出身
小西康陽 1959年生まれ 札幌市出身
大友良英 1959年生まれ
福田和也 1960年生まれ 東京都出身
竹熊健太郎 1960年生まれ 東京都出身
香山リカ 1960年生まれ 札幌市出身
新井素子 1960年生まれ 東京都出身
庵野秀明 1960年生まれ 山口県出身

中森明夫 1960年生まれ 三重県出身
田口賢司 1961年生まれ 岐阜県出身
野々村文宏 1961年生まれ

いとうせいこう 1961年生まれ 千葉県出身
飴屋法水 1961年生まれ
斎藤環 1961年生まれ 岩手県出身
椹木野衣 1962年生まれ 秩父市出身
村上隆 1962年生まれ 東京都出身
ナンシー関 1962年生まれ 青森県出身
町田康 1962年生まれ 大阪府出身
上祐史浩 1962年生まれ 福岡県出身
岡崎京子 1963年生まれ 東京都出身
吉田戦車 1963年生まれ 岩手県出身
菊地成孔 1963年生まれ 千葉県出身
西原理恵子 1964年生まれ 高知県出身
青山真治 1964年生まれ 福岡県出身
法月綸太郎 1964年生まれ 島根県出身
会田誠 1965年生まれ 新潟県出身
ヤノベケンジ 1966年生まれ 大阪府出身
大槻ケンヂ 1966年生まれ 東京都出身
松本大洋 1967年生まれ 東京都出身
安野モヨコ 1971年生まれ
東浩紀 1971年生まれ 東京都出身

1958年生まれが万博を体験したのは小学六年生の頃になる。となると全共闘運動が高校にまで飛び火していた状況を多少は体感しているだろうし、三島由紀夫の自決などもクリアーに記憶していると想像できる。
いっぽうその5年下で当時小学一年生になったばかりの私にとってはこの頃の記憶は幼時体験として半ばもやのように包まれていると言っていい。万博と並んで私のトラウマとも言える瀬戸内シージャック事件をよど号事件よりもかなり前の事件と思いこんでいたが、きちんと調べてみると両方とも同じ1970年の事件であり、よど号ハイジャックのほうが早かったのがわかってちょっと愕然としてしまったが。むしろこの当時生まれていなかったり幼すぎて記憶がない人たちのほうが年表的な整理はきちんとしているに違いない。

1985年前後に朝日出版社から出ていた、今では主に大塚英志氏の言及によって伝えられている「週刊本28 卒業 Kyon2に向かって」を書いた野々村文宏中森明夫田口賢司の3人の「新人類三羽ガラス」の生年が1960-1年と、こちらのほうが若い。私が親近感を感じるのは新人類やオタクとは関係がなくて、やはり1960年以降に生まれた書き手である。

1962年生まれの椹木野衣氏と1971年生まれの東浩紀氏の間の論客が思いつかなかったが、最近になって、はてなを使い始めたせいもあって少し見通せるようになった(たとえば北田暁大氏など。ここでは入れなかった)。どうも私の長らく抱いていたイメージでは「新人類」というのは若くして会社を作ったりしていたタイプであり(その末裔がホリエモンなどのヒルズ族と思えた)で、「オタク」は作家志向という思いこみがあって(マンガ家について私は一つ年下の「昭和39年組」と自分が勝手に名づけた一連の作家を意識していたが、ここには列記しなかった)、椹木氏と東氏の間を思いつく同時代の作家で埋めていったらこんな表になってしまったのだけど、今度は逆に東氏以降の作家についてまるで思いつかないという状況になってしまった。村上隆氏ではないが、40過ぎていつの間にやらじじいじゃねえかと思う次第である。