ちくまプリマー新書ではじめる『学問』

国際児童文学館の問題については、大阪府議会が始まりましたので、あえて控えますが、信頼できる人のリクエストなどがあれば必要に応じて追記します。

来月に『少女の友』の百周年記念号が出るとWeb上に載るようになりました。私はここ2年ほど『少女の友』の調査と簡単な分析を試みましたが、出版について直接には全く関与していません。昨年から出すという話は聞いていましたが、どういう編集になっているか等全くわかりません。たぶん別のブログの方で関連記事をいくつか書くようになると思いますがやらなければならない仕事もたまっていて今日はやめておきます。なんかマンガ学の本も3月に出るんでしたか、こちらは正直言ってどうなんでしょう。

それにしても最近の政治を見ていると政策についての議論をうっちゃって政局ばかりが問題になって、そこで支持率の数値から民意云々というマスコミも含めたこの政局化と論壇化には最近うんざりしてきました。

そこでもう少し距離を置いて考える原点に戻るための本をいくつか探してみました。ちくまプリマー新書など主に中高生向けの本で、つまり疑問を抱えながらじっくりと納得がいくまで調査して考える「学問」へのアプローチの入り口になりそうで、歴史と思想についてのアプローチがあり、次に読む本のおすすめ等が載っているような本を選びました。

まず政治学の初歩の初歩から。

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書)

政治学者といってもいろいろ対象が異なっていて私にはよくわからない世界で、この著者は前東大総長も努め実際にも政治に大きく関わりを持っていますが、マキャベッリやプラトンなど西欧政治思想史の研究で知られているようです。
政治学という言葉は使っておらず、民主主義にテーマを絞ってその来歴、近代における展開や今後の課題など、読んでみてバランスの悪さはあまり感じず、わかりやすくまとまっています。
なお政治学の教科書というものが目立たないながらもけっこうな数が出ていて、政治について冷静に適度な距離を保ちながら参加する上では役に立つのかもしれないです。以下はいかにも学生向けに書かれていて、よって素人がとっつきやすいと思うもの。なお有斐閣からはほかにも政治学の入門書が数多く出ていてAmazonでも評価が高いです。

政治学 (New Liberal Arts Selection)

政治学 (New Liberal Arts Selection)

それ以外にも文庫で出ているものもかなりあります。たとえばイギリスの著名な政治学者によるもの。

現代政治学入門 (講談社学術文庫)

現代政治学入門 (講談社学術文庫)

この著者も民主主義に関する入門書をだしており、比較してみると良さそう。Amazonのレビューによれば、デモクラシーを「民主主義」と訳すのはあまりよくないという考え方だそうです。
デモクラシー (〈一冊でわかる〉シリーズ)

デモクラシー (〈一冊でわかる〉シリーズ)

次に経済学関連で、初歩の初歩で適している本があるのかどうかよくわかりません。だいたいその手の本を書く人がすぐタレントになるのにまず不信感を抱きます。教科書を読む余裕はないし、東洋経済など週刊誌の記事などは興味深く読むのですが、経済学を学んでいる感じはしないのです。
ちょっと本屋を見たら、いわゆるいきなりとっつくのは大変なマクロ経済学ミクロ経済学の教科書とは異なり、経済学の歴史と各々の経済哲学へアプローチしているスタイルの本がちくまプリマー新書のちょうど100番に入っていました。

経済学はこう考える (ちくまプリマー新書)

経済学はこう考える (ちくまプリマー新書)

この著者は私とほぼ同世代のようですが、新書をかなり多く出しています。経済思想史の著作が主になっていて、この本ではマーシャルとケインズを中心に、それほど経済学の多様さそのものは示さずにほかの学者には軽く触れられているだけと感じますが、数学を駆使して理論を構築しようとする経済学においても、実際の経済政策においてはいろいろな評論家が百家争鳴といった分野でもあり、それゆえに歴史に照らしながらそれぞれの学者がどのような思想や社会哲学等のバックボーンを持っているのかを論ずるアプローチを示すことは、入り口としては悪くないように思います。
新書のたぐいであればかなり多くの本が出ているので、全く何を読んだらいいのかわからない人がきっかけとして学者の名前や理論、法則の名前などを覚えるために読むのでいいんじゃないかと思います。

とりあえずこのあたりの本は門外漢に近い素人がWebのレビューなどを見て選んだものなので、あくまでも勘でピックアップしてみました。わかりやすすぎたら危ういというのはあるでしょうが、ほんの入り口だけを示すにはいいのではないかと思われます。直接本屋へ行って勘でピックアップすることは多く、次に読む本のあたりをつけるために簡単な入門書を手に取ってみることは私にとって巷の評判に振り回されないための一つのやり方です。逆に売れている本はほとんど読まないという明らかな偏向はあります。