米澤嘉博さんを悼む

コミックマーケット代表の米澤嘉博さんが亡くなられたとの知らせがはいって書き込んでいます。
夏にお目にかかったときは全然元気そうだったのに、まだ亡くなるには早すぎる...

子どもの頃、図書館で米澤さんの『戦後少女マンガ史』を見つけて何度も読み返したのが自分のマンガ研究の出発点だったのに、その研究成果を何一つまとめることなくこの年まで来てしまって、もう見てもらう機会もないのは悔いに残ります。

コミックマーケットはある意味で戦後の日本で最も成功した革命だったと思います。それはいつもにこやかな笑顔を絶やさずあまり表に出ずに控えて参加員の自主性にまかせオープンにしたからこそ成立しえたものであったでしょう。

前にお話をお伺いしたときには秋元文庫の話題や子どもの頃読んでいた少女雑誌の話をしていただきました。
米澤さんのお仕事の中には目立たないところで別冊太陽の『発禁本』のような仕事もあり、これはコミケにおける性的表現への寛容や表現の自由を守る方針とも関連しているでしょう。
私は最近海外にもマンガを紹介できるようなネットコミケってできないかなどと考えたりしていたのですが、ネットではその点で限界があると思わざるを得ません。

発禁本―明治・大正・昭和・平成 (別冊太陽)

発禁本―明治・大正・昭和・平成 (別冊太陽)

地下本の世界―発禁本 2 (別冊太陽)
発禁本 (3) (別冊太陽)

なにか継げるものがないかと思えば途方に暮れてほんとうに残念でなりません。慎んでご冥福をお祈りします。

藤子不二雄論―FとAの方程式

藤子不二雄論―FとAの方程式

戦後野球マンガ史―手塚治虫のいない風景 (平凡社新書)

戦後野球マンガ史―手塚治虫のいない風景 (平凡社新書)

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005

コミックマーケット30’sファイル―1975‐2005