「のらくろ」と「マウス」

小林秀雄の「考えるヒント」のなかに収録されている「漫画」のなかで、彼の義弟にあたる田河水泡の話を書いています。田河水泡のらくろを除隊させておでん屋にでもするしかあるまいと考えながら連載から11年でしぶしぶ大尉に昇進させ、悶々としながら満州にわたったのだけれども、大東亜共栄圏をぶちあげた政府は「五族協和」を満州の憲法としていたこともあって、作品の構成上人間を出すわけにいかず、ロシア人を熊、朝鮮人を羊、中国人を豚の姿にしたところ、情報局に呼び出されて、最友好国の中国人を豚に描くとは何ごとか、国策を侮辱するものだと言われ、紙の配給が止められたなどと書いてあります(文春文庫、p56あたり)。
もっとも私が子供の頃に復刻されていた「のらくろ」の現物を私はきちんと読んでいないので、ここで小林秀雄が田河から聞いたとして書いたことがどこまで本当なのかよくわかりません。Wikipediaでの記載とは違っていますね。ちゃんと実物を読んでおかないとなあとは思います。
スピーゲルマンが「のらくろ」を読んでいた可能性は結構あるんじゃないかとも思うのですが、誰か聞いた人いませんかね。とりあえず時間がないので今回はここまでにしておきます。