負ける時もあるだろう

ひさびさにディスクユニオンに行ってみたら、三上寛の再発とMassacreのKilling Time紙ジャケの再発を見つける。Massacreの紙ジャケはディスクユニオンだけの発売だろうか。日本語のライナーノーツが菊池成孔なのはティポグラフィカに大きく影響を与えたからのようだけど、ビル・ラズウェルが活躍し始めた頃のニューヨーク・シーンでもこの一枚は象徴的な名盤としてリアルタイムに衝撃を受けたものだ。80年代の初めになるのか、ニュー・ウェーブのまっただ中でまだCDはなく日本盤も出なかったように記憶するが、フレッド・フリスはヘンリー・カウやギター・ソロでその名を聞き覚えていた。ドラムはFred Maharだが、後にたぶんFM東京で聞いた日本公演ではアントン・フィアーが担当していたと思う。最近チャールズ・ヘイワードを迎えて再結成されたが、ヘイワードのドラムだと別のグループのような感じを受ける。そのヘイワードがかつて結成していたThis Heatの再発も近いようだ。自分の中でパンクからニュー・ウェーヴへ向かう歴史的名盤の筆頭に挙げられるアルバムがついにCDで揃うことになる。
三上寛の再発はビクター時代のもの、またファンクラブ三上考務店の自主制作による音源も出ている。私が長らく聴きたかったのが「三上工務店が歩く」、これは昔渋谷陽一の番組でかかって衝撃を受けたものだったが収録されているアルバムがずっと見つからなかった。ベストアルバムに収録されていたのを聞いたのだがラジオで聴いたのと違う気がして、今回の再発でようやく聞くことができた。昔聞いたのと少し違うようなきもするが、これでなければちょっとわからない。「オートバイの失恋」もかかっていたはずなので今回の再発でいいのかもしれない。しかしアルバムとしては「負ける時もあるだろう」のほうがよかった。というか日本語で唄われたアルバムの中でも最高傑作に挙げられるように思う。これだけいろいろと出るとカード払いで借金が増えるが、負ける時もあるだろう。