ディズニーとスーパーフラット

エヴァをめぐるごたごたはかなりおおざっぱに言ってしまうと作品を徹底的に消費し尽くそうとする消費者とそれに抵抗する作家みたいな図式になってしまう。こういうまとめは無責任に過ぎるとは思うが、村上隆氏のオタクへのコミットについても、似たような感じを受けていた。美術手帖の先月の7月号で村上氏のインタビューがあり、本の整理をしていたらまぎれてしまったのでうろ覚えだが、ペシミスティックな感じでオタクアーティストとしての活動は今回の「リトルボーイ展」で終わった、というような発言をしている(この言い方は不正確かもしれないので正確を期すなら美術手帖を見よ)。ここで村上氏は、オタクのイデオローグたちがオタク文化を翻訳する必要を感じていないことを強く批判している。村上氏の十年以上にわたる活動はオタク文化を翻訳するというあまりにも困難の多い試みであり、それを試みたのは村上氏以外ほとんどいなかった(真性オタクはなぜ翻訳しないといけないのかそもそも理解していない)、と私も思う。

美術手帖 2005年 07月号

美術手帖 2005年 07月号

その後雑誌「フィギュア王」(残念ながらAmazonにはまだ最新号が出ていない)の表紙にあさのまさひこ氏による村上氏へのインタビューと、内藤ルネの名前を見たので購入。特集自体はディズニーである。フィギュア誌はほとんど買っていないが意外と楽しめた。内藤ルネさんは自伝も出て、彼の絵柄は、上田トシコさんが高野文子さんに影響を与えたように、岡崎京子さんへの影響があったのではないかと私はにらんでいるので、再評価の流れは歓迎するけれど、それはとりあえずおいておくと、村上氏が二次元のマンガの絵から三次元のフィギュアに構成し直すことに驚きを見つけたとしたら(私もフィギュアについては三次元になることが驚きだったので)、その元祖はミッキーマウスの着ぐるみがいるディズニーランドになるのではないかと思って、そういう意味で興味深い構成であった。

いろいろネタが増殖してもとの草稿は限りない長文でごちゃごちゃになっていてどうも書き足りないが、時間も時間なのでこのへんで切り上げるとする。