大城のぼるの「愉快な鉄工所」

愉快な鉄工所

愉快な鉄工所

漫画研究者の宮本大人(大人と書いてひろひと、と呼びます)さんがはてなにブログをはじめられました。

彼の功績がいかに大きいかは、このような本がオールカラーで出るような再評価をきちんとされてきたことにも現れています。早速書籍を購入しましたが、完全復刊で箱の中にある本は「鉄工所」と「鉄工場」と両方使われています。この作品が単なる夢落ちを軽く超えているのは漫画内に描かれている犬と作者が会話して、作者がこれから描く漫画のキャラクターと一緒に出てもらう旨を語ってから、作者が床につくというふうに実にこみ入っているわけです。地球儀のシーンとかも独創的。あと一番気に入ったのは、冒頭の4ページにわたる自転車を走らせるシーンです。これは実に不思議なシーンで、後に現れるアニメーションの世界に登場人物が入り込んでしまうシーンの予告かもしれない。実にアニメーション的なのです。

付録の読本は竹内オサム小野耕世宮本大人、日高徹の4名ですが、日本の漫画研究はこんなところまで来ている、ということがこれを読めば判るでしょう。3600円もこの内容なら間違いなく買いですので、迷っている方はお急ぎのほどを。