「死神くん」はブラックジャックである

なんでいまどきえんどコイチを語ろうかと思ったのは、ずっと自分の中で封印していた「死神くん」が、文庫版でかなり書き直しがあることを知って、あわてて元のコミックスを古本屋を巡って買いそろえたのがきっかけでしたが、もう読んでもいいだろうという気分になってちょこちょこと読んでみたらいやあ泣けました。作者が吾妻ひでおの影響を受けているだろうってことは前に書きましたが、にもかかわらず吾妻さんには不思議なほど似ていない(美少女が描けないからでしょうが)。
あと最近ブラックジャックのトリビュートが盛んですが、「死神くん」という作品はものの見事なまでにブラックジャックを引っ張ってきていて、そのへんはジャンプ編集部のえらいところで、チャンピオンは作家の資質は買っていたはずなんですがそれを活かせなかった、ということになるのでしょう。ブラックジャックドラえもん世代である私にとって一番なじみ深くもちろん好きな作品ですが、ただ読んで泣いた記憶はないですね。ここがおそらく唯一最大の違いで、手塚マンガが青年化から後戻りできなかったために失われた部分を奇しくも継承し得たところがあるようにも思えます。
死神くんの七つ道具(笑)にはいわゆるデスノートもあったわけで、大場つぐみの正体はガモウひろしだという噂もあってここからDEATH NOTE一気読みへと弾みをつけようと思ってもいたのですが、ちょっと今は気合いが入っておりません。