今週はメビウスとやなせたかしを見た

フランスの漫画家(正確に言うとバンドデシネ作家)で谷口ジロー大友克洋以降日本の漫画家に大きな影響を与えたメビウスが来日して、昨日の午後1時半から明治大学でシンポジウムが開かれたのですが、作家本人の言葉を聞ける機会は本当に貴重なので、見に行きました。
メモを取りながらとても興味深い発言を聞くことができたと思って、来てよかったと思いましたが、今日は感想を書く時間がないのでまた別途機会を見て書きたいと思います。

忌野清志郎さんの葬儀式が行われたことを知ったのは夜のことで、夜になってもまだ並んでいるということでテレビの報道で見ましたが、甲本ヒロトさんの弔辞がとても良かったですね。ロックンロールに憧れた、というのはとても的確な言い方だと思います。「ロック」に憧れたのではない、ロックンロールなんですね。

今日10日に弥生美術館で開催されているやなせたかし展を見に行ってきました。というのは美術館員によるギャラリートークがあるからですが、閉館後やなせ氏が講演を行うというのは知らず、予約制で定員いっぱいだったので「アンパンマンの正義」について聞くことはできませんでした。ところが開館中にやなせ氏が来館して姿を拝むことはできたのでした。高齢ながらお元気でした。
やなせさんも1990年代に80歳代に突入して奥さんも亡くなられてからは、残りの人生を楽しむことを追求してパーティーを開いたり何度も架空結婚式を開いたりとはたから見ると風変りなことをしているそうですが、講演会を開くと自作の曲を歌うのだそうです。美術館の入り口のテレビで歌を歌うやなせさんのビデオが流されていました。
ちなみにやなせたかしは「手のひらを太陽に」の作詞もしています。

メビウスのシンポジウムでは最後にご自身がその場で絵をさらさらと描いていくライブパフォーマンスを行い、日本の漫画家からすごいと言われていましたが、それは絵がとてもうまいというに他ならないことであって、ライブで下書きもなしにマンガを描くこと自体は別にすごいことではないと思ったのは、いまこのエントリを書くときにやなせさん関係の動画をちょっと探していたら、歌を歌いながら絵を描いていくビデオを見つけたからです(リンクはしません)。
メビウスが世界的に偉大な作家なのは間違いないのですが、私にとってはやまだ紫もやなせたかしもメビウスと変わらず重要な作家です。

ここ数日の流れのなかで目を惹いた、やなせたかし展で見た言葉を書き留めておきました。著作権関係の問題があるかもしれませんがどうか引用の範囲としてご容赦していただければと思います。


自分が死ぬことによって
他を生かす
それがぼくの使命なのだ
ぼくは死ぬるが
その生命は他者の中で生きる
ぼくは飢えた人を
救うのではなく
飢えた人の中に
ぼくが生きるのだ

「熱血メルヘン 怪傑アンパンマン」1977 サンリオ