鮭よりも豆腐がいい

高橋由一というとすぐ「鮭」になってしまうのはちょっと違うかなって気がする。絵が出来すぎなのだ。

豆腐。

http://www.konpira.or.jp/museum/yuichi/works/tohu.html

豆腐だけだと難しかったかもしれないのが、油揚げに焼き豆腐と順番に並べたのがいい。特に焼き目。

なまり節もある。淡々と写実に徹する。

http://www.konpira.or.jp/museum/yuichi/works/namaribushi.html

鮭にやや近い感じがあるとすればこの鱈梅花(タラと梅花)。

http://www.konpira.or.jp/museum/yuichi/works/tarabaika.html

これらは金比羅さんの高橋由一館にある。

奇しくも由一が1876〜7年頃にこんな静物を描きまくっていたすぐ後の1880年、マネはアスパラガスを描いている。それもテーブルに、ただ一本。(束のほうの絵もあるのだが)

Edouard Manet "asperges"

http://www.repro-tableaux.com/a/edouard-manet/asperges.html
http://www.repro-tableaux.com/kunst/edouard_manet_739/spargel.jpg

晩年の大作"Un bar aux Folies Bergère"を描き始める直前の作品だ。
日本の浮世絵がフランスに伝わって印象派などに大きな影響を与えているといわれるが、その影響をもっともどん欲に取り込んだのはマネではないかと思いつつも、美術のプロでない私にはせいぜいその平面性や明るさ、輪郭を指摘する位しかすべがない。この件では由一と直接の関係はなかろう。
『フォリー=ベルジェールのバー』は日本人でもほとんど知っているはずの絵だが、フランス語、英語のWikipediaに項目がありながら日本語版には残念ながらなかった。まさかと思うが人によってはマネの作品だと知らないかもしれない。
『笛を吹く少年』、『鉄道』など印象に残る名作はあまたなのだが、日本人はたぶん有名でスキャンダラスな『草上の昼食』や『オランピア』が好きなのだろう(Wikipedia日本版の「エドゥアール・マネ」の項のレイアウトを見よ)。


話は変わって、「ユリイカ」2月号がまだAmazonに出てきませんが、いま読み進めています。それで、ちょっと読み進めようとしていましたが、どうも最初の対談すら飛ばして蓮實重彦のエッセイだけ読めばいいような気がしてきました。要するに今回の話題をみんながそれぞれ勝手に自分の関心にのみ引きつけて論じつつ余計な主張をさらにくっつけていくという愚かな事態が雑誌の中にとどまらずここはてなダイアリーの中も含めてそこらじゅうに進行し蔓延しているような曰く言い難い気持ち悪さを感じるので、そこからとにかく逃れたいと思うならばそれで十分のように思われます。