冒頭の、海底から湧き出てくるおびただしいプランクトンが粉雪のように画面を舞うシーンを見て『崖の上のポニョ』について何かを言おうとするならば、どうしても『風の谷のナウシカ』との関わりをまずサーベイせざるを得ないと確信しつつも、今の自分では手に余ると思っていたら、さすがはてなというべきだろう、やっと自分が待っていた方向での評が現れた。

http://d.hatena.ne.jp/kebabtaro/20080729/p1

腐海を10倍に濃縮したようなこの場面からして、すでに人間は主役ではないのだし、

なによりも説明抜きで変容するポニョの姿に感動する。ときに水棲から陸棲へと進化し、ときに陸棲から水棲へと先祖帰りする系統発生的な行き来に――つまりセリフではなく造形のレベルで――古代への憧憬が表現されていて、ポニョの身体はまるで自然誌の記憶のデータベース。

ここで、しかしなぜ古代なのか、と問うよりも、個人的にはアニメーションとは絵を動かして生命を与えるものだと確認しておこう。
この先ちょっと「近代」と「物語」について与太話を書こうかと思ったが仕事中でちょっと時間が尽きた。