すごろくとマンガ

もっと早く紹介しようと思って気づいたらもう明日一日しかないですが、東京の弥生美術館で「ふろくのミリョク☆」展が開催されています。
なお、来年は原点に帰って?高畠華宵展です。

11月に見に行って、マンガ読みとして一番興味を惹いたのは期待をいい意味で裏切って、双六でした。
手元に本がないのでうろ覚えですが、双六は日本の雑誌のふろくとしては最も古くからあるもので、明治時代に始まり、正月にだけ双六をふろくにつけたようですね。
双六はおそらくカルタ型が基本のようですが、「ふりだし」から「上り」までがストーリー仕立てのようになっているものもあって、マンガの形式とかなり近接しているのに注目してみました。

記憶した限りでは、1919(大正8年)「少女の友」の川端龍子「友子の空想旅行双六」がすばらしく、それから明石精一作の双六はどんなものだったか忘れてしまいましたが、イメージ検索で見つけた「新案少女ジャンケン双六」(大正10年)はふりだしが三箇所あって、どうやって遊ぶのかとても気になります。
自分も子供の頃自分で新案双六を作って遊んでいたのを思い出しました。紙の上にジェットコースターのように入り組んだ線を引いて、線の交差したところは交差点として必ず曲がらないといけないなんてルールを作って遊んでいたのですが。

川端龍子の双六は途中のコマから離れたコマに虹の橋が架かっていてショートカットで進めるというところがあります。
双六は日本独自のものではなくまた歴史的に見てもかなり古くからあるようで、離れたコマの間を移動できるのは欧米では"snakes & ladders"と呼ばれて親しまれているようですが(Wikipediaによれば紀元前2世紀頃まで遡れるらしい)、川端龍子の描いたほとんどマンガ形式と言ってもいいようなスタイルは、果たしてその当時ほかの国にも似たものがあったのでしょうか。
字が読み取れないのが残念ですが、「上り」の絵には魚やスルメが生っている木とかお団子の咲いている草などが描かれており大変ユーモラスで味わい深いものとなっています。ストーリー仕立てでない形式のものはカルタを並べたようなスタイルで、馴染み深いのはこちらでしょう。
3つ目を書き忘れていましたが、たしか井上猛夫という「少女の友」や「日本少年」に挿絵や漫画を描いていた作家によるもので、円形をしつこく組み合わせたちょっと変わったコマで構成されています。これは昭和のはじめのものだと思いましたが、この双六を作ったころに描いていた漫画では同じように円形枠をつなげていく風変わりなコマ割りで漫画を描いていました。
双六のコマの形はとても多様で、コマの外に文章が書かれているものなどもあります。また双六はプレイヤーが盤を囲むので、上下が固定されているものと、絵の向きを外枠が下になるように並んでいるものに分けられます。「友子の空想旅行双六」は後者のスタイルです。見れば見るほど惚れ惚れとしますね。

ちょうど紹介がありました。講談社MouRaの記事。
http://mopix.moura.jp/?p=142

少女雑誌ふろくコレクション (らんぷの本)

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