大阪国際児童文学館について知ってほしいこと

いま大阪では府営施設の見直しが始まってニュースにもなっています。
近畿圏以外ではあまり伝わっていないようですが、
大阪国際児童文学館は私もよく利用しておりますので、存続のお願いとともに、
大阪国際児童文学館のどこがすごいのか、この場を借りて宣伝してみたいと思います。
(以下、児文と略します。)

それから私はワッハ上方(府立上方演芸資料館)のことを知らなかったのですが、
今回の見直しの報道をきっかけにぜひ見に行こうと思っています。


1.児文は児童文化のメッカです

児童文学と漫画は関係ない、あるいは対立していると考えられがちですが、児文には紙芝居や漫画、
少年少女雑誌など多数所蔵されており、特に雑誌は付録も含めて保管がされています。
これは実は大変ユニークなことで、このような施設がほかにほとんどないのでもっと増えることを願っています。
漫才と、赤本文化を経て手塚治虫を育てた大阪という土地柄が関係しているように思います。
(漫才は昭和のはじめに起きた漫画ブームにちなんで吉本興業が「万歳」から名前を変えた説があります)

国会図書館にある雑誌でも付録が失われていることが多く、大阪の「文化」に対する見識の高さが
児文を貴重な施設にしたものだと思います。

国立国会図書館は2000年に上野公園にあった分館を国際子ども図書館として
立ち上げて児童資料を移管していますが、児文の建物ととても似たつくりになっています。

  • 公園と隣接していること(建物が上野公園のそば。児文は日本庭園のすぐ近く)
  • 一階は来館した子どもたちが自由に本を見ることができるスペースになっている
  • 二階には資料室があり、読みたい本がはっきりしていれば書庫から出して閲覧ができます。

もちろん検索端末があります。

古い貴重な本を傷めないよう館員さんの目が届くようにコンパクトな部屋にまとまっています。
一定年齢以下の子どもが入れない年齢制限はありますが、これは致し方ないところ。
小回りの利くコンパクトな施設であることは情報センターとしてけっこう重要性を持っていると思います。


なお資料室でも一部参考資料は開架となっているので、それらを参考にしながら館員さんのアドバイスが
受けられるようになっています。
このような参考資料は各自治体の中央図書館の児童書コーナーにも備えられていると思いますので、
関心をもたれた方はまずそちらから見に行かれてはいかがでしょうか。

一般図書館と違って子どもが児童書と関係ない大人の利用者に邪魔されることがないというのは
見逃されがちなメリットです。
また、日本の中心的な情報センターとして日本近代文学館や神奈川近代文学館のように資料を
特化しているところが特色といえるでしょう。
京都国際マンガミュージアムも児文をお手本としており、関西圏では紙芝居を上演するイベントが
よく開かれています。
なお、漫画関連施設としてもっとも歴史が古いのは大宮市にあるさいたま市立漫画会館でしょう。
このような施設は自治体の特色をアピールする役割を果たしているともいえるのではないでしょうか。


2.「国際」は伊達じゃない

マンガに関しては日本でもっとも多量の資料をきちんと保管している施設です。日本マンガの研究は海外では急速に発展しており、
日本文化を理解してもらう入り口としていまやとても大切な役割を果たしています。
児童教育についてはイデオロギーの介入を受けがちですが、児童文化が発達しているところではひとつのイデオロギーに染まりにくい
こともあって国際的なネットワークが発達していて、偏見を超えた文化理解や交流に大きな役割を果たしています。
マンガについても国際交流が進んでいくことは間違いありません。また雑誌の研究は今世紀に入って国内でも著しく進歩を遂げています。
「国際」と名前がつくのはそれなりに理由があるからなのです。



ほかの施設にもいえますが、ハコモノだからと拙速に廃止を決めるのではなく、有効活用、社会的貢献などといった
いろいろな面を含めて考えることが大切だと思いますので、まずは署名のご協力をご検討お願いします。
用紙は「児童文学書評」のページからPDF形式でリンクされています。(間違えました。Wordのdoc形式をLZHでアーカイブしています)
勝手リンクですみませんが、同サイト内のこちらをお読みください。
(PDFを読むにはAdobe Readerかそれに類するものが必要です。パソコンに慣れていなくても関心のある方を知っていればお伝えいただけると幸いです。)

児文のページはこちら

児文のリンク集もご参考に


ほかの施設にもいえることですが、利用した人でないとその貴重さがわからないところがあります。
なのでこのエントリを書きました。この機会にいろいろな方が関心を持ってもらうことが
大阪の発展を促すことにもなると思います。
アクセスが不便と感じられるかもしれませんが、確か日本庭園には駐車場もあり、
JR茨木駅からバスで渋滞がなければ30分足らずで行ける所です(最初は迷うかもしれませんが太陽の塔の方向を見ながら
万博公園のゲートではなく日本庭園のほうに陸橋を渡ります)。
モノレールの万博公園駅から太陽の塔を見ながら散歩して行くのも忙しい日常から気分転換してくつろぐ効果があるのではと思います
(なれないと道に迷いがちですが太陽の塔の真裏が目標です)。