大城のぼる復刻(lacoアーカイブス)

前から噂には聞いていたはずだったが、手塚治虫に多大な影響を与えた大城のぼるの「火星探検」と「汽車旅行」がオールカラーで復刻された。「火星探検」は少し前に丸善から出ていたモノクロ版を間違って2冊買ってしまっていたのに。
「火星探検」は旭太郎(プロレタリア詩人の小熊秀雄の変名)が話を作り大城が絵を担当したもの。函入りで3600円、付録にブックレットがついている。

火星探険―復刻版 (小学館クリエイティブ単行本)

火星探険―復刻版 (小学館クリエイティブ単行本)

「汽車旅行」のほうは2800円。かつて三一書房の「少年小説大系」の別冊に載ったが見たことはなかった。宍戸左行の「スピード太郎」はみなもと太郎さんが紹介していたのを覚えていて入手していたのだが、「汽車旅行」のほうは宮本大人氏の研究から知ったものである。大城氏と手塚治虫松本零士両氏との対談を収めた「OH!漫画」は昨年ようやく図書館で読んだのだが、「火星探検」が晶文社から復刻されたのに合わせて出されたのが1982年、もう20年以上も前のことだ。のらくろの復刻版が出たのが小学校のころだったような気がするが、晶文社版も見たことはなかった。

スピード太郎 (少年少説大系)

スピード太郎 (少年少説大系)


「汽車旅行」では東京から大阪に向かう途中、大船から乗り込んできたアニメーターが「フィルム漫画」の解説をする(戦前で「アニメ」という言葉は影もかたちもない)。この解説が映画フィルムのようにパーフォレーションを両側に縁取ったコマを用いて描かれたり、コマを車両に見立てて車輪の形のコマを割っていたりと、しゃれた趣向を凝らしていて実に素晴らしい。

汽車旅行―復刻版

汽車旅行―復刻版


今年はマンガ周辺の動きがかなり大きくなりそうな気配がある。それにしても高価で、マンガ専門店でないと置いていないが、少女クラブ版「リボンの騎士」のカラー完全版も出ていたりして、こちらは5000円(以上税抜き)。ちょっとこの値段では手が出ない。